妊孕性温存外来

妊孕性温存治療とは

妊孕性(にんようせい)温存治療とは、医学的適応による精子・卵子凍結のことです。医学の進歩により、多くのがん患者さんががんという病気を乗り切ることができるようになってきました。しかし、若いがん患者さんに対するがん医療は、治療内容により卵巣や精巣などの性腺機能不全、子宮、卵巣、精巣など生殖臓器の喪失により将来子供を持つ事が困難になる可能性があります。

今、若いがん患者さんの妊娠の可能性を広げるために、妊孕性を温存した治療を選択する機会が増加しつつあります。治療終了後の男性としてのあるいは女性としての生活の質の向上を目指して、がん治療開始前から治療完了後の妊娠の可能性を保つために十分な対策を練る必要があると考えます。

生殖補助医療が介入する 妊よう性低下への対策

  • 配偶子(精子、卵子)の凍結
  • 受精卵(胚)凍結
  • 性線(精巣、卵巣)の凍結
  • 卵巣遮蔽、卵巣位置移動手術
  • 薬剤による卵巣休眠療法  など
小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究事業等に関する解説動画

当院における妊孕性温存治療

がん治療前や治療中に精子・卵子を凍結し、将来妊娠を希望する時期まで保存しておくための治療をお受けいただけます。原疾患や患者さんの状態により、個別に治療法やスケジュールをたて、最適な方法を選択していきます。がん治療を遅滞なく遂行することを前提としながら、担当医と密に連携をとり、がん寛解後の妊娠の可能性を広げるお手伝いをしていきます。

  受精卵凍結 卵子凍結 卵巣凍結 精子凍結
適応年齢 42歳未満
(原則として)

40歳未満
(原則として)

35歳未満
(参考値)
年齢制限なし
凍結可能年齢 47歳未満 45歳未満 35歳未満(参考値) 年齢制限なし
婚姻関係の必要性 既婚もしくは事実婚 未婚でも可 未婚でも可 未婚でも可
凍結までの治療
  1. 排卵誘発
  2. 採卵
  3. 体外受精または顕微授精
  4. 受精卵を凍結保存
  5. (原疾患の治療)
  1. 排卵誘発
  2. 採卵
  3. 卵子を凍結保存
  4. (原疾患の治療)
  1. 卵巣組織を採取
  2. 凍結保存
  3. (原疾患の治療)
  1. 採精
  2. 凍結保存
  3. (原疾患の治療)
凍結までの
治療に要する期間
2~4週間 2~4週間 (実施施設に確認要) 当日可
妊娠希望時の治療
  1. 胚の融解
  2. 胚移植
  1. 卵子融解・採精
  2. 顕微授精
  3. 胚移植
  1. 卵巣再移植(手術)
  2. 自然妊娠を期待
  3. または採卵~胚移植
  1. 採卵
  2. 精子融解・顕微授精
  3. 胚移植
長所
  • 世界中で治療の実績がある
  • 未受精卵子凍結に比べ高い妊娠率が期待できる
  • 未婚でも可能
  • 排卵誘発剤の必要がない
  • 小児でも対応可能
  • 短期間の準備で可能
  • 短期間で数回分の保管が可能
  • 人工授精が受けられることもある
短所
  • 排卵誘発期間が必要
  • がん治療までの期間が短いと十分な胚を凍結できない可能性がある
  • 排卵誘発により女性ホルモン値が上昇するリスクがある
  • 排卵誘発期間が必要
  • がん治療までの期間が短いと十分な卵子を凍結できない可能性がある
  • 排卵誘発により女性ホルモン値が上昇するリスクがある
  • 受精卵凍結に比べ報告が少ない
  • 手術が必要
  • 将来移植した卵巣が生着しないことがある
  • 卵巣再移植によるがん細胞の再移入の危険性がある
  • 現状では妊娠率は不明
  • 将来パートナーの採卵が必要
当院での実施 ×県内は聖隷浜松病院

受診の流れ

男性(精子凍結保存)

  1. 01 電話予約

    がん主治医より紹介状をもらい、当院へご連絡ください。
    お電話で「妊孕性温存を検討しています」とお申出いただけるとスムーズです。
    TEL:054-288-2882(ガイダンス1番もしくは2番)

  2. 02 当院受診

    紹介状、検査結果をご持参ください。
    現在の治療の状況を、看護師より問診します。(所要時間は1~2時間程度です。)
    未成年の場合は保護者の方も一緒に受診してください。入院中に外出して受診される場合は、待ち時間に使用いただくベッドのご用意が可能です。ご予約の際にご相談ください。

  3. 03 精子凍結保存についての説明

    医師より精子凍結保存の方法、メリットやデメリット、がん治療後の妊娠に向けての治療について説明します。

  4. 04 看護師によるサポート

    改めて看護師より費用などの細かい事項を説明し、治療についてご検討いただきます。
    医師に確認しにくかったことがあればお尋ねください。
    ご希望がある場合は当日院内での採精も可能です。

2~4は「最短で1日」となります。
3と4は、ご本人の体調によっては後日改めての対応も可能です。

女性(卵子凍結保存または胚凍結保存)

  1. 01 電話予約

    がん主治医より紹介状をもらい、当院へご連絡ください。
    お電話で「妊孕性温存を検討しています」とお申出いただけるとスムーズです。
    TEL:054-288-2882(ガイダンス1番もしくは2番)

  2. 02 当院受診

    紹介状、検査結果をご持参ください。
    現在の治療の状況を、看護師より問診します。(所要時間は1~2時間程度です。)
    未成年の場合は保護者の方も一緒に受診してください。既婚の場合は可能であればご主人と一緒に受診してください。入院中に外出して受診される場合は、待ち時間に使用いただくベッドのご用意が可能です。ご予約の際にご相談ください。

  3. 03 卵子・胚(受精卵)凍結保存についての説明

    医師より卵子・胚(受精卵)凍結精子凍結保存の方法、メリットやデメリット、がん治療後の妊娠に向けての治療について説明します。

  4. 04 看護師によるサポート

    改めて看護師より費用など細かい事項を説明し、治療についてご検討いただきます。
    医師に確認しにくかったことがあればお尋ねください。
    月経周期や、がん治療開始の時期により、妊孕性温存を開始する時期や治療期間が異なります。

3と4は、ご本人の体調によっては後日改めての対応も可能です。

支援事業について

小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業の対象となる方は、費用の一部に対する助成を受けることができます。
助成金を受けるためには、専用アプリをご自身のスマートフォンやタブレットにダウンロードし、登録する必要があります。

  • 定期的に(年1回以上)患者さんの臨床情報等が収集されます。
  • 収集した情報は、日本がん・生殖医療登録システム(JOFR)のセキュリティレベルの高い国内サーバーで管理されます。
  • 収集した情報は個人が特定されない形で妊孕性温存療法の研究に利用されます。
  • 専用アプリでは登録されたご自身のデータを閲覧できるほか、患者さんに役立つ機能を日本がん・生殖医療学会より提供しています。

助成内容

所得制限等

  • 制度の趣旨を踏まえ、所得制限は設けない。
  • 助成対象となる費用については、妊孕性温存療法に要した医療保険適用外費用の額を上限とする。

助成上限額および助成回数

対象治療 助成上限額/1回 助成回数
①胚(受精卵)凍結 35万円 2回まで
②未受精卵子凍結 20万円 2回まで
③卵巣組織凍結 40万円 2回まで(組織採取時に1回、再移植時に1回)
④精子凍結 2.5万円 2回まで
⑤精子凍結(精巣内精子採取) 35万円 2回まで
妊孕性温存治療支援事業のさらに詳しい情報

小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業

妊孕性温存における治療の実績

TAWARA IVF CLINIC
TAWARA IVF CLINIC