第18回:検査後の不妊治療の流れ2(2013年8月31日放送の内容)
◎河村由美さん
さて今週も先週に引き続き「検査後の不妊治療の流れ」についてお話を伺っていきたいと思います。
先週の放送で検査後の不妊治療の流れについてご紹介しましたが、「タイミング療法」の次のステップとなる「人工授精」の詳しい内容について教えていただけますか?
◎俵史子院長
「人工授精」とは精液を採取後、洗浄・濃縮して元気な精子を選び、回収できた運動精子を細い管で子宮内に注入する方法です。精子数が少ない、運動性が低いなどの精液所見不良の場合、またフーナーテスト不良、抗精子抗体弱陽性の場合に適応となります。性行障害のあるご夫婦の間でも行います。当院でのデータから、採取後の総運動精子数は500万以上必要で、それ以下の場合は体外受精が適応となります。人工授精(AIH)の施行回数は6回程度で累積妊娠率が頭打ちとなりますので、妊娠に至らない場合はステップアップを考えた方がいいと思います。タイミング療法、人工授精の治療を一般不妊治療といいます。
◎河村由美さん
一般不妊治療でない治療といいますと、どのような治療になりますか?
◎俵史子院長
卵管閉塞などの卵管障害がある場合、精液所見が極端に悪い場合には、一般不妊治療では妊娠が望めないため、体外受精・顕微授精などの"生殖補助医療"が適応となります。
◎河村由美さん
生殖補助医療は、具体的にはどんな治療になりますか?
◎俵史子院長
体外受精(IVF)は、採卵という処置により体内から取り出した卵子と、精子の受精を体の外で行う治療です。受精が正常に起こり順調に発育した良好胚を体内に移植すると妊娠率がより高くなることから、2〜5日間の体外培養後に、可能な限り良好な胚を選んで子宮内に移植します。
顕微授精(ICSI)とは、体外受精で受精せず受精障害と診断された場合や、精液中の精子濃度や運動率が低く、体外受精では受精しないと判断される場合に行われます。体外受精では卵子に精子を加えて自然に受精するのを待ちますが、顕微授精では細いガラス針で、1個の精子を卵子に直接注入します。
◎河村由美さん
生殖補助医療はどこで受けられますか?
◎俵史子院長
日本産科婦人科学会で認定されている生殖医療登録施設で体外受精、顕微授精を受けることができます。また生殖医学会では、生殖医療を専門とする資格を持つ医師(生殖医療専門医)を認定しています。施設により、専門医の有無のほか治療方針や妊娠率などにも違いがありますので、ご自身に合った施設を探す必要があると思います。
来週は、「不妊治療の期間とステップアップのタイミング」についてお届けしたいと思います。