不妊治療後の妊娠で気をつけたいこと

不妊治療後妊娠と周産期合併症

不妊治療、特にART治療後の妊娠は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、早産、前置胎盤などの頻度が高いという報告※1があります。一方で、不妊治療そのものではなく、それぞれの方の背景が原因となっている可能性を指摘する報告もあります※2
高齢妊娠では妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高くなりますが、不妊治療を受ける方にも高齢の方が多いため、不妊治療後妊娠においてもこれらの合併率が高い一因と考えられます。また、初期の子宮頸がんの治療である円錐切除術を受けた方は早産、子宮腺筋症の方は前置胎盤のリスクが増加します。 ご自身の年齢や合併症、既往歴などをしっかり認識して妊娠生活を送ることが大切です。生殖周産期外来では、それぞれの背景に合わせた保健指導を行い、妊娠合併症発症の抑制を目指します。適切な分娩施設の選択についても相談いただけます。

1 Fertil Steril. 2016 Jan;105(1):73-85.e1-6.2 Fertil Steril. 2012 Oct;98(4):922-928.

妊娠初期の心理状態

不妊治療を経て、大きな喜びを感じるとともに、今後に対する不安を感じられる方も少なくないと思います。当院の調査で、不妊治療中の方と妊娠初期の方の不安と抑うつを点数化すると、不妊治療中より、むしろ妊娠初期の方が不安点数が高いという結果でした3。妊娠中期以降の方では、妊娠中の方が抑うつや不安は減少していた4ことから、特に妊娠初期に不安が高まる考えられます。妊娠初期はホルモンの大きな変化が起こる時期で体調が不安定になりやすく、赤ちゃんの元気さを胎動で日々感じることがまだできないことなどが原因として考えられます。妊娠中の不安は早産や低出生体重児の可能性を高めると報告されています5。 生殖周産期外来では、心理状態を質問紙なども用いて把握し、不安に寄り添い健やかな妊娠生活が送れるよう支援を行います。

3 日本周産期メンタルヘルス学会会誌 4(1):61-66, 20184 Hum Reprod 16(5): 966-969, 20015 J Affect Disord. 2014 Apr;159:103-10