当院で実施可能な先進医療

タイムラプスインキュベーター

タイムラプスインキュベーターとは、カメラが内蔵された培養器のことです。培養中の胚を一定間隔(10〜15分)で自動撮影するため、培養器から取り出さずに胚の正確な評価が可能です。観察のたびに胚を取り出す通常のインキュベーターに比べ、胚の成長や妊娠率の向上、継続妊娠率と出生率の改善、早期流産率の減少が報告されています。自費で体外受精をする場合は、体外受精管理料にタイムラプスインキュベーター(受精・初期分割確認)代が含まれます。

タイムラプスインキュベーターのメリット
  • 培養器から取り出さずに胚を観察できるため、安定した環境下の培養が可能。
  • 正確な受精の判定および異常分割の有無が分かり、より良好な胚の選定が可能。
  • 胚の発育過程で得た情報から優先順位をつけて、移植・凍結に適した胚を選択できる。

培養の様子

IMSI(強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術)

IMSIは強拡大顕微鏡で精子を観察し、精子頭部の空胞などの異常構造を有さない形態良好精子を優先的に選択、顕微授精を行う方法です。

従来の顕微授精

顕微鏡下(400倍)で運動性の高い精子、形態的に良好と思われる精子を総評し、選んだ精子を卵子に注入する手法が主流です。しかし良好と評価した精子でも、強拡大顕微鏡(1,000倍以上)で観察すると、精子頭部に微細な空胞が認められることがあります。このような頭部内の構造異常は、着床不成功や流産の原因の1つとして指摘されています。

PICSI(ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術)

未熟精子はレセプターを持っておらずヒアルロン酸と結合できません。自然の受精の過程では、成熟精子のみがヒアルロン酸を含む透明帯に結合し卵子内に侵入します。さらにヒアルロン酸に結合した精子はDNA損傷率が低いことが示されています。(Mongkolchaipak et al. 2013 J Androl.)PICSIではヒアルロン酸に結合できる精子を選別して顕微授精を行うため、より自然に近い形でDNA損傷の低い成熟した精子を選別できます。

MSPD(膜構造を用いた生理学的精子選択術)

MSPDは、精子回収時に精子DNAを損傷するとされる高速での遠心分離や化学物質の曝露を行わず、専用機器の内部のメンブレン(膜)を泳ぎ上がってきた運動性の高い機能的な精子を選別する方法です。受精後の胚発生や胚質には精子の関与が報告されています。その要因の1つとして注目されているのは、精子DNAの損傷です。 この方法で精子選別をした顕微授精は、胚発育・妊娠率・着床率・生産率の向上・流産率の低下が見られるとの報告があります。

SEET法(子宮内膜刺激術)

SEET法は胚培養液を胚移植数日前に子宮に注入し、胚の着床に適した環境を作り出す技術です。反復着床不全の方で胚盤胞移植時にSEET法を実施すると、妊娠率の向上が期待できます。 通常、卵子と精子は卵管内で受精後、胚盤胞へと成長しながら子宮内に移動して着床します。受精卵は子宮へ移動する間、母体に信号を送っているといわれており、子宮はこの信号を受け取って着床する準備を始めると考えられています。

二段階胚移植法

二段階胚移植では、初期胚移植後に胚盤胞を移植します。初期胚移植を行い、子宮に着床する準備を促した後に胚盤胞移植を行うことで着床条件を良くし、胚盤胞の着床率を上げる方法です。 通常、卵子と精子は卵管内で受精後、胚盤胞へと成長しながら子宮内へ移動して着床します。受精卵は子宮へ移動する間、母体に信号を送っているといわれており、子宮はこの信号を受け取り着床する準備を始めると考えられています。

子宮内膜受容能検査(ERA)

ERA検査は、子宮内膜組織から遺伝子を解析し、内膜組織が着床に適した状態であるのかを評価する検査です。適切な着床時期を特定し、ベストなタイミングで胚移植を行うことを目的としています。

子宮内フローラ検査(EMMA/ALICE)

子宮内フローラ検査は、子宮内の細菌叢の状態と、菌の種類の組成を判断する着床環境の評価法の一つです。子宮内のフローラ(細菌環境)の乱れは、不妊や着床不全、流産の原因となる可能性があると考えられています。​反復着床不全の方の6割で子宮内フローラの乱れや慢性子宮内膜炎の存在が指摘されています。Cicinelli E, et al : Chronic endometritis due to common bacteria is prevalent in women with recurrent miscarriage as confirmed by improved pregnancy outcome after antibiotic treatment. Reprod Sci 2014 ; 21 : 640-647.

トリオ検査(ERA/EMMA/ALICE)

子宮内受容能検査と子宮内細菌叢の両方の検査を実施することも可能です。

β2GPIネオセルフ抗体検査

β2GPIネオセルフ抗体とは、不妊症・不育症の原因の1つとして近年新たに発見された抗体です。反復着床不全・子宮内膜症の方の約30%が、不育症の方の約20%が検査陽性であることが確認されており、陽性の方はβ2GPIネオセルフ抗体によって血栓が生じやすく、妊娠しにくい・流産が起きやすい状態になっていると考えられます。血栓を予防する治療によって、不妊症の方は妊娠成功率が31%程度増加、不育症の方は生児獲得率が37%程度増加する研究成果が報告されています。
Y. Ono et al., Journal of Reproductive Immunology (2023), K. Tanimura et al., Arthritis & Rheumatology (2020)

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