投稿日:2026.05.13 最終更新日:2026.06.09
着床不全(障害)について
着床不全(障害)とは

当院では、良好胚盤胞を2回以上移植しても妊娠に至らない場合、着床不全の可能性を疑い、治療方針の見直しや原因検索のための検査を考慮していきます。特に、40歳以下の方で3回以上良好胚盤胞で結果が出ない場合には、反復着床不全(RIF)と判断し、積極的な精査をお勧めします。
こんな症状はありませんか?
- 良好胚盤胞を移植しても結果が出ない方
- 移植を繰り返しているが妊娠に至らない方
- 生化学的流産を繰り返す方
着床不全の原因
着床に至らない場合、原因として大きく以下の3つを考え、検査・治療を勧めていきます。

慢性子宮内膜炎(CE)について

子宮内膜に認められる局所性の炎症性疾患。多くの場合、自覚症状はありません。慢性子宮内膜炎と不妊・不育症との関連が近年指摘されています。診断は、子宮鏡や内膜生検で形質細胞の存在を確認することにより行います。治療は抗菌薬の内服が基本になります。
着床障害の検査
膣内細菌培養検査

当院では、子宮内フローラ検査の代用として、簡易的な膣内細菌培養検査をする試みを実施しています。子宮内フローラ検査に比べ、免責費用が抑えられる受けやすい検査です。
子宮と膣はつながっており、膣内細菌叢は子宮内細菌叢を反映していると推測され、膣内細菌叢の改善が、子宮内細菌叢を改善することにつながっていると考えております。膣内細菌叢でラクトバチルスがみられなかった方にはラクトフェリンのサプリメントを推奨しています。

ラクトフェリンについて
直接的にラクトバチルス属を増やすものではありませんが、プレバイオティクス治療(有用菌の働きを促す物質を取り込む方法)として身体に取り込むことで、子宮内のラクトバティルスの割合を増やし、妊娠率の向上を期待します。Reprod Med Biol. 2018 18:72-82 サプリメントとしてのラクトフェリン(当院で購入可能なものⓇルナリズム)とⓇInvag、ⓇLactofloraなどの腟内用カプセル(個人輸入が必要)があります。
免疫寛容検査

当院では、着床障害や流産を繰り返す方には血液検査でTh1/Th2比、25-OHビタミンD(貯留型ビタミンD)を測定し、必要な方にサプリメントとしてビタミンDを摂取することをお勧めしています。
Th1/Th2バランスについて
リンパ球にあるT細胞には、免疫反応を調節する「ヘルパーT細胞」があります。この「ヘルパーT細胞」には「Th1細胞」と「Th2細胞」があり、Th1/Th2細胞バランス(Th1/Th2比)が免疫応答に関与しています。「Th1細胞」が弱く「Th2細胞」が優位な状態が妊娠の成立と維持に適したバランスとされており、Th1/Th2バランスの異常(Th1細胞優位、Th2細胞が弱い状態)が着床不全や流産の原因として指摘されています。 また、ビタミンD欠乏は、着床率の低下や習慣流産に関与しているとの報告があります。※1 ビタミンD製剤投与により、Th1/Th2比が改善される可能性があります。※2 1 Fabris A,et al:Fertil Steril. 2014;102(6):1608-12. Ota K、et al:Hum Reprod. 2014;29(2):208-192 Nutrients 2018;10;902